James Blake - Overgrown


9.8/10点中

ジェイムス・ブレイク、待望の新作。

全ての曲が明確な価値観と構成を以て作られており、
均一な質感と適度な緊張感がアルバムを通して保たれている。
内省的な歌詞を巧みな抑揚を用いて歌い上げるジェイムス・ブレイクの歌唱力も健在で、
前述のメロディと親和し、心を打つ。

電子音、ストリングス、パーカッション等、全てが高い水準でまとまっており、
これらを過不足なく組み合わせたジェイムス・ブレイクの作曲家としての成長も十分に感じられる。

孤独、喪失、過去への郷愁。
これらを歌い上げていく中で、ジェイムス・ブレイクはどこに行き着くのか。
突然の出来事が全てを「退行」させていく中で、彼が掴み取ったものは何なのか。
音の揺らぎの中から立ち上がる、彼の模索の跡は今、我々の心に真に迫る。