Mensa Group International - Fjords, Vol. III

 
9.5/10点中

http://fortune500.bandcamp.com/album/fjords-vol-iii
(無料でダウンロードできます)
ミラー:http://www.mediafire.com/?cytcmigg15006nd

ヴェイパーウェイヴを牽引する、フォーチュン500から発表された異色の作品。

このメンサ・グループ・インターナショナルの過去の作品ともベクトルが大きく異なり、
通常ヴェイパーウェイヴに不可欠なAORやR&Bの要素が比較的薄く、
第三世界のニッチな音源を用いるなど極めて異質なアルバムに仕上がっている。
カット&ペーストやループなどある程度の編集はあるもののピッチの変更等は無く、
ほぼ無編集に近いという点も旧来のヴェイパーウェイヴとは大きく異なる。

アルバムの中でも素晴らしいのは、「Atta Atta」~「Action Flick Island」の流れ。
冒頭の素晴らしいピアノのような音色が呪詛的な笛、ビートに消し去られる「Atta Atta」と
アジアのセルジュ・ゲンズブールと例えるべき、美しい弦楽器が特徴の「Action Flick Island」は、
それまでのR&Bに傾くアルバムの流れを綺麗に断ち切った、素晴らしい背の向け方。
「Oscar」のイントロダクションも無駄にしない構成もまた見事だ。

ヴェイパーウェイヴの作品としては明らかにイレギュラーな作品だが、
セイント・ペプシやメンサ・グループ・インターナショナルのような勢力が次々と出てくる今、
ヴェイパーウェイヴは大きな転換点を迎えようとしているのではないか。
この作品がもたらした羽ばたきがどこまで大きな風となるのか、期待して見つめていきたい。