ECO VIRTUAL - VIRTUAL大気中分析


9.5/10点中

Vektroidの「Waterfall Voyeur」のような
アシュ・ラ・テンペル、タンジェリン・ドリームを参照したニューエイジミュージックと
AOR、R&Bを足したものがヴェイパーウェイヴの元だとするならば、
これは保守本流のヴェイパーウェイヴの作品だと言っていいだろう。
ヴェイパーウェイヴの基軸とは何なのか、
もはやその基準が曖昧になっている中、
このアルバムはヴェイパーウェイヴの基軸を立ち戻った、純粋な作品だ。

メリハリの付け方も見事であり、わずか20分程度の短いアルバムながら、
その短さを感じさせない豊かな音像が展開されている。
特に奇怪なパーカッションが跋扈する「Cumulus Fractus」と
AORをよりニューエイジミュージックに近づけた「Bermuda High」はアルバム屈指の名曲で、
一曲目の「Morning Haze」から「Bermuda High」への流れはアルバムの見せ場と言っていい。
その他の曲も丁寧に作られており、アルバムの雰囲気を壊すことがない。

様々なアーティストが混在するヴェイパーウェイヴの世界観を概括したような作品。
コンパクトな作品というのもこれから聴き始める方には良い点ではないだろうか。