パスピエ - 演出家出演


8.8/10点中

「ONOMIMONO」を経て、辿り着いたプログレッシヴ・Jポップ。

「わたし開花したわ」から一貫して追求してきた、
様々なオマージュが複雑に絡み合うポップスが遂に実現したのではないだろうか。
「S.S」や「フィーバー」の複雑な展開を聴けば、
イエスやヴァニラ・ファッジなど6~70年代のサイケやプログレを想起できるし、
「シネマ」や「はいからさん」のシンセサイザーやギターを聴けば、
YMOやニューオーダー、スミスの姿が頭に浮かぶ。
そして、サビやメロディラインからは古き良きJポップの香りが漂う。
しかし、これら参照元に全的に依存することなく、
「パスピエ」というバンド自体の良さに結びつけられているのは、
本当に賞賛に値することだと私は思う。

これだけ複雑な処理が多いにも関わらず、
それを衒学的に感じさせない彼らの音作りもまた見事だ。
彼らの純粋なポップネスと音楽に対するひたむきな姿勢は
今という、この瞬間をユーモアを交え、軽やかに駆け抜けてみせる。