Roxy Music - Avalon


9.5/10点中

妖艶という言葉がぴったりだ。

一曲目の「More Than This」からアルバムに終わりを告げる「Tara」まで、
ブライアン・フェリーの一貫した美学が感じられる素晴らしい構成が展開されている。
シンセサイザーやギターが奏でる妖しげな音像と
ブライアン・フェリーの突き抜けるような美声が混ざり合い、
表出した浮遊感にも感覚が聴き手を安らぎに誘う。
 
複雑な処理と独特の音響空間が展開されているだけに、
聴き手がある種の圧迫感を感じてしまってもおかしくないのだが、
アルバムの印象として非常にクリーンだと感じてしまうのは、ただただ驚嘆するばかりだ。
その後に80年代を代表するエンジニアになる、ボブ・クリアマウンテンの丹念な仕事も
これに一役買っているのは言うまでもないだろう。

ロキシー・ミュージック最後の作品であり、
後期ロキシーにおける美の探究が極に達した瞬間を見事に切り取った傑作。