(((さらうんど))) - New Age


9.6/10点中

真っ青な空の元を走る飛行機雲は一体どこから流れてきたものなのだろうか。

この(((さらうんど)))の新譜で奏でられる音楽は全く新しい、今ここでしか奏でられない音楽だ。
Roxy Musicの美学、山下達郎、大瀧詠一から脈々と引き継がれる日本ポップスの歴史、
ニューウェーブ、そして、vo.鴨田潤がプロローグで高らかに宣言した、ソウル、ディスコの影響、
確かにそんなことを言えば切りが無いが、
この『New Age』はそういったポップスの歴史から離れた、
新たなポップスを創造することに成功している。

ele-kingにおいて、竹内正太郎氏が指摘するように、
聴き手が気付くのはこのアルバムが孕む、その音の広がりの豊かさだ。
一音一音に無駄がなく、巧みにミックスされ、配置された音は鴨田が目指す、
ポップスの理想像を文字通り具現化している。
#1 Welcome to Brand New Age~#2Signal Signalにおける一連のシークエンスは
このアルバムのディレクション、
ひいてはポップスの理想像を聴き手に理解させるには最高のシグナルだろう。
恐ろしいほど美しい旋律とを奏でる、♯1のシンセサイザー、
#2の水の上を跳ねるように舞うスラップベースはこのアルバムの中でも印象的なシーンだ。
そして、この音色に絡み合う歌詞もうなじを流れていく汗の一粒一粒まで感じ取れるような、
身体性と躍動感を以て、メロディの上を跋扈し、このアルバムの温度をグッと高めていく。
清涼感溢れる#7空中分解するアイラビューでもその熱自体は全く冷めないどころか、
より高まっていることからもこの(((さらうんど)))の主張は首尾一貫している。

ポップスにかける鴨田の醇乎たる思いが奏でられた、このアルバムはまさに夏そのものなのだ。
そして、その純粋さはこの夏の須臾を永遠に抱きしめ、また次の夏へと繋いでいく。
来年の夏は今年の夏のように熱くなるだろうか、いやきっとまた熱い夏になるに違いない。
この『NEW AGE』に込められた熱量が何よりそれを端的に証明している。

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