No Age - An Object



9.5/10点中

「物体」と名付けられた、この作品は混じり気のない、文字通り「物体」そのものだ。

ノー・エイジというバンドにとって、この混じり気の無さというものは最も重要な要素だ。
「Do It Yourself(自分自身でやる)」を旗印に
『ノウンズ』、そして『エヴリシング・イン・ビトウィーン』と作品を発表してきたノー・エイジにとって、
変化とはその時の「彼らのありのまま」を表現したにすぎない。

新作「オブジェクト」は前作の延長線上にあるとも言える作品だが、
サウンドはよりラフに、曲調はよりシリアスになった印象を受ける。
前作における「コモン・ヒート」のような曲は殆ど姿を消しており、
「サークリング・ウィズ・ディジー」に見られるギターの硬質感はこの作品を象徴している。
それこそ、「ノウンズ」からは想像もできないような変化だろう。
かつてのようなドリーミーな色彩を見せる「アイ・ウォント・トゥー・ビー・ユア・ジェネレーター」ですら、
その歌詞がこちらを夢心地にさせることを拒絶する。

しかし、これが今の「彼らのありのまま」だ。
どこか痛みを伴い、ある種、傲慢にすら捉えられるやり方かもしれない。
しかし、これは混じり気の無い、真実だ。

アルバムのアートワークにこのような文言がある。
A record needs home, a sound needs a place to go.
(作品は家を求めている、音は行き着く場所を求めている)
「Do It Yourself」というのは極めて孤独だ。
そして、ノー・エイジもまた孤独だ。だからこそ、彼らは「対象」と真摯に対峙しようとする。
行き着く場所を求めているのは作品も音もそうだが、何より彼ら自身なのではないか。

絶対の孤独から生まれた「物体」。それとあなたがどう向き合っていくか。
そこからスタートする作品があっていい。