SHXCXCHCXSH - STRGTHS



9.8/10点中

スウェーデンの2人組ユニットが出したこのデビューアルバムは
彼らにとって大きな一歩になるに違いない。

その素性やそもそも読み方すら謎なこのユニットだが、
それはその音楽性にも通じている。
#1の「SLVRBBL」の
井戸底の呼び声のようなリバーブのかかるコーラスからアルバムは幕を開け、
不穏なシンセサイザーがバックコーラスのように鳴り響き、そこに重く暗いクリック音が重なる
「LTTLWLF」など暴力的とも言える硬質なビートに
どこで録音したかも不明なテクスチャの断片が浮かんでは消えていくサウンドは
あまりに無秩序で無機質で抽象的だ。
しかし、だからこそ、何の感情を移入することがなくとも音楽に身は委ねられ、体は揺れる。

Modern Loveなどミニマルでダークなビートが顧みられる昨今だが、
この「STRGTHS」にはそのムーヴメントを牽引していく「強さ」がある。
この「STRGTHS」というタイトルや曲名のように
断片的で壊れゆく情報の中からより濃密な体験が生まれるのだとすれば、
このアルバムをデフラグメントしていく作業はあなたにとって実に有意義な体験になるだろう。
「退廃」の美学、それがこのアルバムには満ちている。