Mark Mcguire - Along The Way




8.2/10点中

OPNがニューエイジから離れ、新たな地平を切り開いた一方、
このマーク・マクガイアはより深層へと侵入しようとしている。

Emeralds時代から徹底されてきたそのメディテーティブな作風は変わらないが、
以前と比べると生楽器がフィーチャーされ、
より温かみのある柔和なムードが作品を包む。
何より、マーク自身の引くギターの音色に叙情がある。
そのギター表現が最高点に達したのは
やはり数多くの方がベストトラックに挙げる「The Instinct」だろう。
「本能」というタイトル通り、マークの燃えるような演奏が聴き手の本能を喚起し、
こちらの本能とマークの本能がぶつかり合うような緊張感が味わえる秀逸なトラックだ。
そして、それはこのアルバムで描かれる「愛」の姿に重なるものでもある。

だが、このアルバムのライナーにも長々と書かれた「愛」についての思想、
それを読んでいれば、かつてのニューエイジの姿を想起してしまうのは仕方のないことだろう。
そして、そのニューエイジが辿った帰結を考えれば、
今回「愛」をテーマにしたことに関して若干の浅薄さは否めない。
しかし、マーク・マクガイアは本気である。

同じ地点から出発し、ディストピアを描き切ったOPNと、
あくまでユーフォリックな世界を描くことに徹したマーク・マクガイア。
まったく対照的な作風の二つだが、
コインの表裏の関係でしかないように感じてしまうのは私だけだろうか。