iLL - Rock Album


9.5/10点中

中村弘二さんの作品は面白く、正直言って甲乙付け難いのだが、
その中で最もよくまとまっているのは作品はこれだと思っている。

後の「Force」や「Minimal Maximum」で見られるような
電子音の多用はここにはなく、極めてシンプルな構成でこのアルバムは作られている。
それ故、曲ごとに空気感のぶれがほぼ無く、
一定のテンションでアルバムに没入することができる。

曲もバラエティに富んでおり、ポップな曲もあれば、
クラウト・ロックを思わせるような実験的な曲もあり、
こちらの予想をことごとく裏切っていく感じは聴いていて素直に楽しい。

何より、初めて聴いたときのインパクトたるや!
スーパーカー解散以来、こういった形式で殆ど曲を発表していなかった彼が
ギターを持ち、アルバムを作った。
それだけで、ファンとして嬉しく感じたことをよく覚えている。