Toro Y Moi - Anything in Return


7.5/10点中

チル・ウェイヴの流れを汲みながらも、
その中に独自の要素を加え、更に生音主体で構成したことで、
完成度の高い「Underneath the Pine」を作り、
一躍脚光を集めたトロ・イ・モアの通算3作目のアルバム。

本人も語るように、「ポップ・ミュージック」を目指したこの作品では、
それまで使われていたリヴァーヴは完璧に排されている。
それによってアルバムの音像は極めてクリアになっている。
故に、純粋にポップで聴きやすいアルバム。

また、「Say That」や「So Many Details」、
「Never Matter」のような素晴らしい曲もあり、
アルバムとして及第点以上の作品ではある。

しかし、全体として起伏が少ない。
特に「So Many Details」から「Never Matter」に至るまで
アルバムのテンションが変わらないというのは、聴き手としては少し辛い。

アルバムの方向性はとしてはかなり良いベクトルであっただけに、
曲数を減らすなど、もう少しコンパクトになれば
文句なしに良作になり得たのだが……。惜しい。