Lillies and Remains / 世界的なバンド / PURPLE - Underrated

UNDERRATED
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Lillies and Remains / 世界的なバンド / PURPLE
Fifty One Records (2012-10-03)
売り上げランキング: 32396

7.5/10点中

「FINAL CUT」のような曲が何故イギリスで出てこないのか、
と思わず嘆息を漏らすとともに
住んでいるが故に意識してこなかった、
日本の音楽の勢いをまざまざと見せ付けられてしまった。

Lillies and Remains、やはり彼らは聡明なバンドだ。
原典に忠実なところは忠実に、
自分たちの良さを出せる部分は大胆に脚色し、
彼ららしい曲に仕上げている。
特に「FINAL CUT」は素晴らしい。
ただ、 「FINAL CUT」と「WHEN IT'S OVER」以外は
試作の趣が強く、少し煩雑な展開になっているか。
それでも曲としての強度が保たれているのは
これまでに何作もアルバムを製作してきたという経験が大きいだろう。

世界的なバンドのパートは
Neu!のような無機質な反復と鋭いパーカッションが折り重なる、
「NEW」は秀逸な曲であった。
ただ他の曲に関しては性急な感もあり、
もう少し落ち着いた展開でも良かった気がする。
パーカッションも曲によってはエッジが効きすぎていると感じた。

PURPLEは「WITH MARY」が
ガレージとシューゲイザーを合わせたような奇妙な曲で良かった。
しかし、他の3曲に関しては、ボーカルのメロディが殆ど聴き取れず、
折角のメロディの良さが削がれているように感じた。
狙ってクリアにしていないのはよく分かるのだが……。

アルバムとしてはスプリットかつ、やや単調な側面があるため、
7点台とさせていただいたが、
3者とも私が言うような難点は理解しているはずで
アルバムではよりシンプルかつ効果的なプロダクションを採るに違いない。
その道程でこういった試作をきっちりできる彼らの姿勢は支持したいと思う。

何より、出来云々ではなく、
こういったテイストのアルバムを発表する場自体、縮小している状況の中で、
彼らはそれに抗い、エネルギッシュに活動していること、
それ自体を読者の皆様には評価していただきたいと私は切に願っている。