Autre Ne Veut - Anxiety


7.9/10点中

80年代のR&Bを下敷きにしたポップさがアルバム全体を流れる、
真摯でストレートなアルバムである。

切迫感溢れる「Play by Play」でリスナーを引き付ける冒頭は見事。
その後も「Counting」「Promises」などメロウでポップな曲が続き、
聴いた方はよく出来たアルバムという印象を持つだろう。

が、その反面驚きに欠ける印象があるのも確かだ。
同じ80年代を下敷きにしたNeon IndianやFord & Lopatinを聴いたときに感じた
目新しさというものがこのアルバムには欠けている。
ミドルテンポの曲が多く、やや冗長という印象も拭えない。
また、メジャーシーンのサウンドと非常に似通っているが、
突き抜けたポップさというのもこのアルバムには欠けている。
こういったプロダクションであれば、もっとポップにしても良かったと思うのだが。

何より、エレキングでのレビューでも指摘があったように、
「Softwareでのリリース」が最もリスナーを混乱させる要素だったことは確かだろう。
リスナーは否が応でも一定以上の前衛性を期待してしまうからだ。
ただ、そういったことを抜きにしてもこのアルバムは良質なアルバムではあるが、
あくまで佳作であり、それ以上ではない、というのが私の印象である。