9.2/10点中
清廉潔白なアルバムだ。
80年代R&B、AORを下敷きにしたサウンドは、
ヴェイパーウェイヴの潮流と共振するように、
どことなくノスタルジックな響きを孕みながらも、
現代のリスナーにも十分訴えかけうる音を響かせる。
何より素晴らしいのはボーカルとそれを生かすプロダクションだ。
トロ・イ・モアやオート・ヌ・ヴ等、
これまでストレートなポップ音楽を志向するアーティストは数多いたものの、
何処か振り切れない部分が見え、聴いているこちらとしてもやきもきしたが、
このインクの音楽はストレートなポップを志向しながらも
その目的を果たすために無理をすることはない。
故に彼らは実験的かつポップという
前述のアーティストが為し得なかった領域に足を踏み入れることに成功している。
自分たちの思いに正直でいようとするこの兄弟の誠実さが垣間見える良作であった。
ラベル:
Electronic,
R&B,
Second-tier Classics,
アルバムレビュー,
洋楽