Klaxons - Surfing The Void


9.0/10点中

アルバムのエキセントリックな展開とその高い音楽性が評価され、
マーキュリー・プライズを受賞した前作「Myths of the Near Future」から3年、
穿った曲調はそのままに、よりサイケデリックな音像へ舵を切った一作。

アルバムの中で最もポップな「Echoes」から
「The Same Space」、「Surfing The Void」、「Valley Of The Calm Trees」と
立て続けに焦燥感すら感じるほど早く、動的な曲が続き、
その後もピッチに緩急をつけながら、
鋭く、とりとめのないギターとシンセサイザーが鳴り続けるという、
良い意味で気味の悪いアルバムである。

NMEなど批評筋の評価は芳しくないようで、
前作の展開から振り切って実験的になるというニュースが当時流れていたこともあり、
(実際、今作のために作っていた試作曲を集め、
無料で公開した「Landmarks of Lunacy」はかなりエッジが効いていた)
妥協したアルバムと見なす向きもあるが、十分すぎるほど実験的なアルバムであり、
近年のイギリスのバンドでここまで重く、
サイケデリックなアルバムを作ったバンドはいないのでは?
曲も実験的だが、聴きやすさはあり、個人的には1stと並んで好きな作品。