Radiohead - Kid A


9.3/10点中

90年代以降のロックを語る上で必ずと言っていいほどその名が上がる、 レディオヘッド。
そして、彼らにとって4作目のアルバムがこの、「キッドA」である。

97年に発表された「OKコンピューター」の時点でファンは相当驚いたはずだが、
この「キッドA」にはもっと驚いたはずだ。
このアルバムでは「ザ・ベンズ」や「パブロ・ハニー」で見せていた、
ポップなギターロックの姿はまったく無くなっており、
電子音を大胆に用いた、エレクトロニカ色が強いアルバムになっている。

難解で前衛的な作風ではあるが、ギリギリのラインで一定のポップさを維持しており、
最初は面食らうが、何回も聴くごとに自身の肌になじんでくるような、不思議な感覚がある。
この辺り、かなり熟考された末、作品に仕上がっている感じがして良い。
オーガニックな雰囲気のある曲もあり、
全体としてはかなり落ち着きのある作品に仕上がっている。

ただ、このアルバムを曲単位で聴こうと思うとやや厳しいか。
「Everything In Its Right Place」や「Idioteque」、「Optimistic」は個人的には好きな曲なのだが、
これを人に薦められるかと言われるとちょっと不安。
手っ取り早くレディオヘッドを聴きたい方は「イン・レインボウズ」から入るのが無難だと思う。

しかしながら、アルバムとして見ればここで論じるまでもない、素晴らしいアルバム。
00年代初頭にかなり議論され、後々のロックにも強い影響を与えた作品なので、
ロックの名盤は全部聴きたい!という方は是非聴くべきアルバムだろう。